養育費の強制執行

養育費の合意をしたら公正証書を作成するべき5つの理由

大切なお子さまの健全な成長のためには、金銭的な心配だけでも減らしておきたいところ。養育費がきちんと支払われることは非常に大切です。

そのためには、養育費の合意をしたら、公正証書を作成しておいた方が良いことをご存知でしょうか。

特に、2020年4月に改正民事執行法が施行されたことに伴い、公正証書を作成しておくことによるメリットが、いっそう大きくなりました。

この記事では、養育費の合意をしたら公正証書を作成するべき理由等について解説していきます。

養育費の公正証書を作成するべき5つの理由

養育費の支払い額や支払い時期について、養育費を支払う人(この記事では、「義務者」とか「相手方」等といいます)と話し合いがまとまった時は、ぜひ公正証書を作成しておきましょう。

公正証書を作成することで得られるメリットは、次の5つです。

合意内容を明確にするため

養育費についてきちんと払うと義務者が言っていても、それを書面など記録に残る形に残していなければ、後日、言った言わないの紛争になりがちです。

特に、金額をいくらにするのか、支払うと言っていてもそれは18歳までなのか、20歳までなのか、大学卒業までなのかという終期の点や、塾や習い事の費用をどうするのか、私立学校に入学した場合の学費はどうするのか、子どもが14歳未満までと15歳以上とで金額に差を設けるのか等々、書面にしないと詳細が曖昧のままになってしまいがちです。

その結果、後になって勝手に金額を減らされたり、約束を破られてしまうということも少なくありません

公正証書を作成することで、そのような事態を予防することができます。

支払いを受けられる可能性を高めるため

日本では、養育費の支払いが十分になされていないのが現状です。厚生労働省によれば、平成28年度の調査では、母子家庭の約75%が現在(調査当時)養育費の支払いがなされていません。

しかし、公正証書を作成すれば、義務者からの支払いを受けられる可能性が非常に高まります。

理由は2つあります。心理学的理由と、法的な理由からです。

心理学的理由

公正証書を作るには、義務者と話し合いをして納得・同意を得た後、それを公証人という法律のプロの前で作成することになります。

自分が納得して同意をしたこと、それを第三者の前で約束したことにより、その約束どおりの行為を期待できるというのは、「コミットメントと一貫性の法則」として、心理学的にも証明されています。

「コミットメントと一貫性の法則」については、こちらの記事などをご参照ください

法律的な理由

次に、法律的な理由ですが、後に記載するとおり、公正証書を作成すれば、強制執行が可能となり、また、財産等の調査手続きも可能となります。具体的にいえば、支払いを怠った場合には、相手の職場に裁判所から給料の差押え命令などが届く、ということもあり得るわけです。このように、支払いを怠れば、強制執行等をされてしまうリスクがありますので、義務者は、しっかり支払いをしようというインセンティブが生まれます。

裁判手続き(調停等)を不要にするため

義務者が養育費を支払ってくれなかったり、不十分な額しか支払ってくれないという場合、公正証書を作成していない場合には、話合ってもまとまらない時は調停・審判などの裁判手続きが必要となります。

しかし、調停は、裁判所に申立をし、平日、仕事を休んで1,2か月に1回裁判所に出掛けて、調停委員や裁判官と話をする、ということを数か月にわたって繰り返すことが必要となります。弁護士に依頼すれば、費用(調停の弁護士費用は、通常は20~30万円程度でしょう)もかかります。裁判の日以外にも、弁護士との打ち合わせや資料の整理なども必要です。精神的にも疲弊しますし、時間もかかります。

このような、調停等の裁判手続きに伴う精神的・時間的・金銭的なコストが不要になるという意味でも、公正証書を作成しておくメリットは大きいです。

強制執行が可能となるため

②で述べたとおり、日本では、養育費の支払いがなされていない家庭が多いのが現状です。

仮にそのような事態になったとき、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておけば、義務者の財産に対して強制執行をすることが可能となります。

強制執行認諾文言とは、「債務者は,本証書記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した」等といった文章の入った条項のことです。

この強制執行認諾文言が無い公正証書を作ってしまったような場合には、その公正証書では強制執行はできません。

したがって、公正証書を作成する場合には、必ず強制執行認諾文言を入れる必要があります。

強制執行は、義務者の財産を強制的に差押える手続きです。典型的には、預貯金口座や勤務先に対する給料債権を差押えます。

強制執行とは、その名のとおり「強制」です。つまり、義務者が翻意して支払いたくないと考えたとしても、公正証書に記載されている内容の金額の支払いを受けることが可能となるのです。

情報取得手続を利用するため

2020年4月に改正民事執行法が施行されました。

この改正民事執行法の各種手続を、(強制執行認諾文言付きの)公正証書の権利者は利用できることになりました。具体的には、以下のとおりです。

罰則が強化された財産開示手続の利用が可能

強制執行をするためには、義務者の財産がどこにあるのかを発見しなければなりません。例えば、預貯金口座を隠されてしまうと、発見が困難でした。

そのため、義務者に保有財産について開示させる財産開示手続という制度がありましたが、今までは罰則が弱く、利用価値が乏しいと言われていました。

しかし、この財産開示手続の罰則が強化されたので、義務者が出頭しなかったり、嘘を述べたりすることが困難となり、利用価値が大きく向上しました。

今回の改正に伴い、この財産開示手続の利用権者として、公正証書の権利者(債権者)も含まれることとなりました。

従って、公正証書を作成しておけば、強化された財産開示手続を利用することが可能となります。

各種情報取得手続きの利用が可能

さらに、改正民事執行法では、養育費の公正証書の債権者は、各種の情報取得手続きが可能となりました。

具体的には、銀行等の金融機関に義務者の金融資産について情報をもらう手続き、法務局に義務者の不動産情報をもらう手続き、そして勤務先情報を開示してもらう手続きです。

これにより、強制執行をするための財産を見つけることが大幅に容易になりました。

養育費にうちて公正証書を作成していない場合には、調停等の裁判手続きをしなければ、これらのメリットを享受することはできません。

公正証書の作成は必ずしましょう

以上のとおり、特に民事執行法が改正されたことにより、公正証書を作成しておく必要性はいっそう高まりました。

養育費について話し合いがまとまったら、その段階で、必ず公正証書を作成しておきましょう。

着手金無料、成功報酬制で養育費回収をサポートいたします。

淡青税務法律事務所では、お子さまの未来のため、着手金無料完全成功報酬制の養育費回収サービスを始めました。

調停調書や公正証書などの債務名義をお持ちの方限定のサービスとなります。  
くわしくは養育費の回収代行サービスをご覧ください。